血糖値を下げる食べ物は?糖尿病を予防する食生活のポイント

血糖値を下げる食べ物は?糖尿病を予防する食生活のポイント

糖尿病は生活習慣病のひとつで、患者数は生活習慣などの影響で急速に増えています。日本の成人の約4〜5人に1人が糖尿病またはその予備軍とされています。これが進行すると、糖尿病性腎症や神経障害などの合併症を引き起こす場合があるため、早めの予防が重要です。糖尿病の発症には遺伝だけでなく、肥満や運動不足、食生活の乱れが大きく影響します。そのため、食生活に注意することはとても重要です。今回は、糖尿病を予防するための食事や、食生活のポイントについて解説します。

糖尿病はどんな病気?

糖尿病は、膵臓から出るインスリンというホルモンが十分に分泌されなかったり、うまく働かなかったりすることで、血液中のブドウ糖(血糖)が増える病気です。大きく分けて3種類があります。

一つ目が「1型糖尿病」。膵臓でインスリンを作る細胞が壊れてしまうため、血糖値が高くなるタイプの糖尿病です。このタイプは、インスリンを注射で補う治療が必須でとなります。

二つ目は「2型糖尿病」。日本人の約95%がこのタイプで、生活習慣や遺伝の影響でインスリンが出にくくなったり、うまく働かなくなることが原因で起こります。これは「ストレス」や「肥満」、「運動不足」、「暴飲暴食」などの生活習慣が大きく影響しています。治療にはインスリン注射に加え、生活習慣の改善も大切です。

三つ目は「妊娠糖尿病」。これは妊娠中に初めて血糖値が高い状態になるもので、一般的な糖尿病ではないですが、高血圧などの原因となるため注意が必要です。

糖尿病予防の基本は食事から

糖尿病の治療で基本となるのは食事療法です。これは、日本人の血糖値を下げるインスリンというホルモンの分泌量が影響しています。日本人はもともと欧米人に比べてインスリンの分泌量が少ないため、欧米化した食生活を続けると糖分の処理が追いつかず、血糖値が高くなりやすくなるのです。

インスリンの分泌が少なくなったり、うまく働かなくなったりが続くと、膵臓の働きがさらに弱くなってしまいます。

食事療法の基本は、カロリーを必要以上に取らないことです。必要以上のカロリー摂取は体に負担をかけます。バランスの取れた栄養を1日の必要量内で取ることで、膵臓の負担が軽くなり、本来の働きを取り戻します。食べすぎやインスリンを多く必要とする食事を避けるようにしましょう。

血糖値を下げるための食品選び

日常の食生活によって、糖尿病のリスクが高くなるか低くなるかがある程度わかっています。糖尿病のリスクを低くするには、血糖値が過度に上がらないような食事を摂ることです。ここでは、血糖値を上げにくい食品と、血統の吸収が緩やかになる食品を見ていきましょう。

血糖値を緩やかにする食品

全粒穀物や野菜、果物の日常的な摂取で、糖尿病の予防に役立つことがわかっています。具体的には、全粒粉、オートミール、玄米などを多く摂取する人は、糖尿病になりにくい傾向があるのです。これらの食品には、食物繊維やビタミン、ミネラルが豊富に含まれています。摂取カロリーが少ない割に満腹感や満足感を得やすいため、食べ過ぎや肥満を防ぐ効果も。

血糖値を上げる食品

牛肉や豚肉などの赤肉や加工肉を多く摂取する人は、糖尿病になりやすいことがわかっています。赤肉の摂取が糖尿病の発症に影響する理由は完全には解明されていませんが、これらの食品には脂肪分が多く、酸化ストレスや炎症を引き起こす成分が含まれているため、血糖値が上がりやすくなると考えられています。

また、白米や小麦粉などの精製穀物は、血糖値が急激に上がりやすいのが特徴です。白米を時々玄米に置き換えたり、麦ごはんにしたりすることでリスクを削減できます。全粒粉を使用した製品を選ぶのもおすすめです。

さらに、フライドポテトやジュースを習慣的に摂取する人もリスクが高まることがわかっています。これらの食品は血糖値を急上昇させるため、注意が必要です。

糖質制限は糖尿病予防になる?

糖質制限はダイエット方法として人気があり、多くの人が「バランスが良い」と考えています。企業やメディアも、糖質制限を健康に良い習慣として取り上げることが多いです。確かに、糖質の摂りすぎは肥満につながり、糖尿病のリスクを高めます。

しかし、糖質制限を続けても糖尿病を予防できるという明確な証拠はありません。極端な糖質制限ダイエットには、次のような弊害があります。

・エネルギー不足が続くと、血糖値が上がりやすくなる

・筋肉量が減ってしまう

・体重が増えやすくなる(リバウンドしやすくなる)

・食事に満足しにくく、続けられない

そのため、糖質は摂りすぎも制限しすぎもよくありません。具体的には、摂取カロリーの50〜60%を糖質から取るのが最も健康によいとされています。バランスの取れた食事が、健康的な生活の基本です。糖質制限を考える際には、無理のない範囲でバランスを保つことを意識すると良いでしょう。

糖尿病を予防する食生活のポイント

糖尿病を予防するためには、食べ過ぎないことや食事内容に気をつけることが重要です。ここでは、食事の改善に役立つ3つのポイントをご紹介します。

ゆっくり噛んで食べる

脳の満腹中枢が血糖値の上昇を感じて満腹感を得るまでには、約15〜20分かかるとされています。そのため、満腹感を感じるまでゆっくり噛んで食事を摂るのが大切です。

ゆっくり噛んで食べるためには、まず「あと5回」多く噛むことを意識してみましょう。慣れてきたら、少しずつ噛む回数を増やしていくと良いです。また、次のような工夫も試してみてください。

・一口ごとに箸やフォークを置く。

・食事の途中で会話を楽しむ。

・小さな一口を取るようにする。

・食べる前に深呼吸をする。

これらの方法を取り入れることで、自然と食べるスピードが遅くなり、満腹感を得やすくなります。

野菜を積極的に摂取する

野菜はカロリーが少なく、ビタミンやミネラル、食物繊維が豊富で、肥満防止に役立ちます。積極的に取り入れましょう。特に、食事の最初に野菜を食べることを心がけると、食物繊維のおかげで満腹感を得やすくなり、食べ過ぎ防止にも効果的です。

ただし、野菜の代わりに野菜ジュースを飲むのは控えた方が良いでしょう。野菜ジュースには意外に多くの糖質が含まれており、血糖値を上げる可能性があります。また、ジュースは噛む必要がないため、固形の野菜と同じ効果は期待できません。野菜の栄養は、できるだけ固形の状態で摂るようにしましょう

GI値の低い食品を選ぶ

GI値(血糖上昇指数)は、食後に血糖値がどれくらい上がるかを示す数値です。糖尿病を予防するためには、血糖値の上昇が緩やかなGI値の低い食品を選ぶことが重要となります。たとえば、主食では白米や食パンよりも玄米や全粒粉パンの方がGI値が低いです。

GI値は55以下が低GI値、56〜69が中GI値、70以上が高GI値とされています。低GI値の食品には以下のようなものがあります。

穀類:そば、スパゲッティ、押し麦など

野菜:葉物野菜、ピーマン、ブロッコリー

果物:柿、キウイ、みかん、バナナ、いちごなど

乳製品:牛乳、チーズ、ヨーグルト

その他:大豆製品(豆腐、納豆)、海藻類など

同じ糖質量でも食品によってGI値は異なります。糖質量だけでなく、GI値にも注意を向けて食生活を見直しましょう。

まとめ

食事療法では、食べてはいけない食品はほとんどありません。重要なのは、指示されたエネルギー量の範囲内で、炭水化物、タンパク質、脂質、ビタミン、ミネラルなどの栄養素をバランスよく摂ることです。また、血糖値を急激に上げるような食品の摂りすぎにも注意が必要です。食生活の見直しが糖尿病予防のための大切なポイント。できることから少しずつ始めてみましょう。

自分に合った食事について知りたい方や、糖尿病予備軍で不安を感じている方は、医療機関への診断をおすすめします。

血糖値を下げる食べ物は?糖尿病を予防する食生活のポイント

《参考サイト》
藤沢市の内科(糖尿病・アレルギー検査)なら湘南台しらがクリニック

藤沢市にある「湘南台しらがクリニック」では、糖尿病治療に取り組んでいます。栄養指導や正しい糖質制限のアドバイスも行っているので、気になるかたはお気軽に相談してみてくださいね。