空き家の処分を買い取り業者へ依頼するメリットは?全体の流れについても解説

空き家の処分を買い取り業者へ依頼するメリットは?全体の流れについても解説

昨今、空き家の処分にまつわる問題が発生しています。

実家を相続したり、祖父母が手放したりした住宅を、無人のまま放置しているケースは珍しくありません。仲介売却を依頼しても、なかなか買い手がつかないということもあります。

このような場合、業者へ物件を買い取ってもらうことを検討してください。条件が合えばすぐに空き家を手放せるうえ、遠方であっても手間をかけずに処分できます。仲介で売りにくい物件には、買い取りが適しているものもあります。

この記事で解説しているのは、空き家を買い取ってもらうメリットとデメリット、買い取りを依頼するときの流れについてです。合わせて、買い取りを検討できるケースや、空き家を放置するリスクについても言及しています。

空き家を所有していて、処分に頭を悩ませている方にとって参考になるはずです。

空き家の買い取りを業者へ依頼するメリット

空き家の買い取りを業者へ依頼するときのメリットは4つです。

  • 条件が合えばすぐに空き家を手放せる
  • 仲介手数料が不要
  • 契約直前のトラブルを回避できる
  • 契約不適合責任が免責になるケースが多い

条件が合えばすぐに空き家を手放せる

不動産会社へ空き家の買い取りを依頼したとき、双方が条件に合意できればすぐに契約が成立します。仲介では買い手が見つかりにくい物件や、すぐに現金化したいときに適しています。

不動産会社が仲介して物件を売却するとき、すぐに売れるとは限りません。物件の状態や立地など、買い主側にとってメリットや魅力がなければ売却までに時間がかかります。また、リフォームや更地にして売却するときも、修繕費用や解体費用が必要です。

こうしたケースでは、不動産会社に空き家を買い取ってもらうことを検討してください。仲介での売却が難しい物件については後述します。

仲介手数料が不要

空き家を買い取ってもらう場合は仲介手数料がかかりません。

仲介手数料とは不動産会社へ物件の売却を依頼して、売買が成立したときに支払う報酬です。手数料は以下の方法で算出します。

売却価格×3%+6万円×消費税=仲介手数料

例えば、空き家を仲介によって3,000万円で売却したときの手数料は105万6,000円です。

売却するときに不動産会社と媒介契約を結ぶ仲介では、手数料だけで数十万円〜数百万円の費用がかかります。

現金を少しでも多く手元に残したいときは、買い取りも視野に入れてください。

契約直前のトラブルを回避できる

契約直前のトラブルとして挙げられるのは、住宅ローンの審査が通らない、敷地境界が確定していなかったなどです。仲介によって物件を売却するときは、こうした状況が発生する可能性を否定できません。

ですが、買い取りであればこのようなトラブルを回避できます。空き家を手放すとき、時間や手間をかけたくない方に適しています。

契約不適合責任が免責になるケースが多い

不動産会社に買い取ってもらうと、契約不適合責任が免責になるケースが多いのもメリットの1つです。

売買成立後、物件に欠陥や不具合があった場合は原則として売主が責任を負います。これを瑕疵担保責任といいますが、民法改正により2020年4月からは契約不適合責任に変わりました。

こうした売主側にかかるプレッシャーは、買い取りによって解放されます。

空き家の買い取りを業者へ依頼するデメリット

空き家の買い取りを業者へ依頼するデメリットは、主に2つです。

  • 相場よりも買い取り額が低くなる
  • 買い取りが難しい物件もある

相場よりも買い取り額が低くなる

空き家の買い取り価格は、相場よりも低いことに注意してください。これは、不動産会社が買い取った空き家を転売して利益を得る仕組みによるものです。そのため、少しでも高く空き家を買い取って欲しいという方には適していません。

ただし、業者を選定するときには必ず相見積もりを採っておこなうことを考えれば、査定額のもっとも高い業者との契約によって、金額を引き上げられるともいえます。

また、買い取りを急がないのであれば仲介での売却から検討してください。

買い取りが難しい物件もある

空き家のなかには、買い取りが難しい物件もあります。このケースに該当するのは、更地価格が安く、取り壊し費用が利益を上回る空き家です。このような物件の場合、取り壊しは売主側でおこなうことになります。

空き家の買い取りを検討できるケース

空き家の買い取りを検討できるケース

実際に空き家の買い取りを検討できるのは、以下のケースです。

  • 仲介では売りにくい物件
  • 空き家が遠方にある
  • 所有者が複数人いるとき

仲介では売りにくい物件

古い家や立地条件のよくない物件、敷地が広すぎるなどの物件は、仲介売却では売れにくいとされています。こうした物件は売れるまでに時間がかかるため、買い取りが適しています。

空き家が遠方にある

空き家が遠方にある場合も、買い取りを検討してください。仲介売却では査定や媒介契約、内見などで何度も現場へ足を運ぶことになり、時間やお金がかさみます。

買い取りであれば査定から売買契約を締結後、すぐに引き渡すこともあるので時間をより有効に使えます。

所有者が複数人いるとき

一例ですが、実家を相続して所有者が複数人いるというケースにおいて、全員からの同意を得やすいのは買い取りです。仲介売却の場合、売り出し価格や値引き交渉の対応などで意見が割れ、売却が困難になることがあります。

空き家をなるべく早く処分したい、手間なく売却したいときは買い取りを検討してください。

空き家の買い取りを依頼するときの流れ

空き家の買い取り依頼から売却までの大まかな流れを、以下にまとめました。

  1. 買い取り業者へ査定を依頼する
  2. 買い取り業者を選定する
  3. 売買契約を締結して引き渡す

買い取り業者へ査定を依頼する

買い取り業者へ査定を依頼するときは、必ず複数の会社へ依頼してください。1社だけの意見で決めてしまうよりも、複数の会社からの意見を元に判断した方が、納得できる結果を得られるはずです。

また、仲介と買い取りの両方でそれぞれ査定を依頼すれば、金額を把握したうえで有利に売却を進められます。

ほかにも仲介で売却するときにあらかじめ期限を決めておき、それまでに売れなければ買い取りを選択するという方法もおすすめです。

買い取り業者を選定する

買い取り業者を選定するときは、売買契約を締結してから引き渡しまでのスケジュールを確認してください。また、買い取り価格と一緒に条件についても考え、合意できる業者を吟味します。

売買契約にあたっては書類が必要です。以下に主なものをまとめたので、参考にしてください。

登記済権利証または登記事項証明書(謄本) 固定資産税納税通知書(税額がわかるもの) 土地測量図や建物図面など 購入時の資料(間取りがわかるもの)

売買契約を締結して引き渡す

不動産会社と合意できたら、売買契約を締結して書類の手続きが始まります。手続きが終わったあと、空き家を引き渡してお金を受け取ったら完了です。

空き家を放置するリスク

空き家を放置するリスク

空き家を放置すると、3つのリスクがあります。

  • 所有しているだけで費用がかかる
  • 損害賠償を請求される恐れがある
  • 特定空き家に指定される可能性がある

所有しているだけで費用がかかる

空き家は、所有しているだけでも固定資産税や都市計画税などの支払いが生じます。また、放置している期間が長引くほど、建物を維持するための費用がかさむことになり、金銭的な損失は避けられません。

建物の管理や維持には手間とお金がかかります。こうした負担を減らしたいなら、早めに対処すべきです。

損害賠償を請求される恐れがある

住宅の一部が崩れ落ちて、通行人や近隣の住民がけがをしたり、物品が破損または汚損したりした場合、損害賠償を請求される可能性があります。

特定空き家に指定される可能性がある

特定空き家とは、倒壊する恐れや、近隣に迷惑をかけると自治体が判断した空き家です。

一般的に住宅が建っている土地は、固定資産税や都市計画税などが軽減されますが、特定空き家に指定されると軽減措置を受けられません。

特定空き家に指定されたときは、市町村からの助言や指導のもと改善に努めてください。ただし、状況に変化がなければ、最終的には行政代執行によって空き家を解体します。解体費用は所有者が支払いますが、応じない場合は資産を差し押さえて回収します。

参考ページ:空き家の買取業者なら空き家パス|空き家の買取とは?損せず売却するためのノウハウを一挙解説

まとめ

空き家は所有しているだけでも費用がかかり、定期的なメンテナンスが必要です。放置すると、公的なペナルティを課されるリスクも持っているため、処分については早い段階で検討してください。

空き家を持て余しているときは、買い取りも視野に入れます。条件に合意できればすぐに手放し、現金化できることと仲介手数料が不要な点は大きなメリットです。また、相続によって所有者が複数人いるときや、仲介では売りにくい物件でも売却できます。

ただし、相場よりも買い取り額が低いことと、なかには買い取れない物件もあることは覚えておいてください。

不動産の処分には体力や気力、お金が必要です。その負担を軽くする方法として、買い取りを選択肢に加えておくと安心できます。